冠血流予備量比(FFR) 測定のお話

冠血流予備量比(FFR) 測定のお話

2022年06月01日

 狭心症を代表とする虚血性心疾患の治療に対して、薬剤溶出性ステントが使用されるようになりました。しかし、薬剤溶出性ステント留置後は一定期間の二剤併用抗血小板療法が必要とされており、二剤併用抗血小板療法に伴い出血性合併症やステント留置後の再狭窄・ステント血栓症など治療によるリスクもわずかながらあります。
 冠動脈内に狭窄病変があるとき、治療が必要なのかを判断する指標になるのが冠血流予備量比 ( FFR) で、狭窄病変によってどのくらい血流が阻害されているかを推測します。
 通常は心臓カテーテル検査(冠動脈造影)に続いて行います。プレッシャーワイヤーという細さ約0・36㎜の装置を冠動脈の狭窄病変の奥まで挿入して、病変の手前と奥の圧力を観察しFFRを測定します(図参照)。狭窄がなければFFR = 1・0 となります。非侵襲的検査との対比により、FFRが0・80満であると治療を検討します。 FFRを測定することで、より科学的に治療の必要の有無を判断し、本当に必要な患者さんへのカテーテル治療が行えるようになりました。