検査の豆知識 2015年

Q.腫瘍マーカー「CA19-9」
 腫瘍にはさまざまな種類があり、その腫瘍がそれぞれ特徴的な物質を過剰に出します。その物質を腫瘍マーカーといい、血液検査で調べることができます。
 CA19-9は、消化器系の臓器の中でも特に膵臓(すいぞう)がんや胆道がんに80~90%の割合で高値を示す腫瘍マーカーです。検診などでがんのふるいわけに用いられますが、早期のがんでは高値を示さない場合もあり、また糖尿病や胆石症、慢性膵炎などがん以外の疾患でも高値となる場合があるため、基準値を超えた場合はがんを始め臓器に異常がないかどうかを腹部超音波検査やCT、MRI検査などの精密検査で調べます。
 また、がんの治療効果を把握したり、再発や転移が無いかどうかの判断材料の一つとしても用いられています。

Q.ノロウイルスの検査方法
 ノロウイルスは小腸粘膜で増殖するウイルスで、感染すると腹痛や下痢、嘔吐、発熱などを伴う胃腸炎を起こします。糞便や吐物中のウイルスが手や物に付着して口から入ってしまうことで感染は広がります。現在、ノロウイルスに効果のある薬はなく、検査は医師が医学的に必要と認めた場合や、飲食関係の職業の方などに対し、感染拡大を防ぐ目的で行われています。
 検査は糞便を用いて行い、方法は二種類あります。一つめは、検査キットを使用しウイルスの抗原を検出する方法です。結果は短時間で出ますが、症状が治まりウイルス量が少なくなると検出できないことがあります。二つめは、ウイルスの遺伝子を検出する方法です。検査手順が多く時間が掛かるため結果が出るまでに数日を要する場合もありますが、精度の高い検査です。症状の有無や状況により、検査方法が決められます。

Q.75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)とは
 75gOGTTは、糖尿病の検査のひとつです。この検査は、10時間程度絶食した空腹状態で採血し、血糖値を測ります。次に、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの)を飲み、その30分後・1時間後・2時間後にそれぞれ採血し、血糖値の変化をみます。
 空腹時の血糖が110mg/dl以下かつOGTTの2時間値が140mg/dl以下だと「正常型」、空腹時126mg/dl以上またはOGTTの2時間値が200mg/dl以上だと「糖尿病型」とされ、そのどちらにも当てはまらないものを「境界型」と分類します。
 通常、ブドウ糖液を飲むと血糖値は上昇し、30~60分後にはピークに達して2時間後にはほぼ空腹時の値に戻ります。しかし「糖尿病型」では2時間後も血糖値が下がらず高いままです。
 糖尿病は、75gOGTTのほかにも血糖値やヘモグロビンA1c、糖尿病の症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)などと組み合わせて診断されます。
75g経口ブドウ糖負荷試験

Q.尿路系の病気がわかる!? 「尿沈渣」
 尿を遠心分離機という機械にかけると、液体と沈殿物の2層に分かれます。この沈殿物を「尿沈渣」といい、その中にどのような細胞があり、どのくらいの量が含まれているかを顕微鏡で観察するのが尿沈渣の検査です。
 健常な人の尿は淡い黄色~黄色で濁りはなく、細胞もほとんどありません。しかし、尿の通り道に結石や腫瘍など出血を伴う疾患がある場合、尿の色は赤色~暗赤色になり、沈渣に赤血球が大量に見られます。さらに腫瘍がある場合は尿中に異常な細胞が剥がれ落ち、沈渣中に見られることがあります。また、膀胱炎などの細菌感染がある場合は炎症が起こるため、沈渣に白血球や細菌が大量に見られ尿が濁ります。
 尿沈渣に出現する細胞はこの他にもいくつかあり生理的要因や疾患によって出現する細胞は様々で尿の色調も変化します。排尿痛や下腹部痛があったり、尿の色がいつもと違うと感じた時には受診をお勧めします。

Q.睡眠時無呼吸症候群(SAS)
 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。無呼吸によって睡眠が妨げられると、昼間の眠気や倦怠感を感じたりします。また睡眠中の低酸素血症は生活習慣病と密接な関係があり、心筋梗塞や脳梗塞の危険も高まると言われています。
 SASを調べる検査には、自宅で行なう簡易検査と医療機関で一泊入院して行なう精密検査があります。一晩の睡眠中に10秒以上の無呼吸や低呼吸が何回あるのかを調べ、これが1時間あたり5回以上あるとSASとされ、30回以上認められると重症と診断されます。
 SASの治療には、鼻にマスクを装着して気道に空気を送りこみ、気道を広げて閉塞を防ぐCPAP(シーパップ)療法が普及しています。また、マウスピースの着用や外科手術などの治療法もあります。

Q.てんかんと脳波検査
 私たちの脳は神経細胞が電気信号でお互いに連絡し合い、規則正しいリズムで活動しています。しかし、何らかの原因により異常な電気刺激が起こると痙攣や意識消失などの症状が出ます。このような発作を繰り返す脳の病気をてんかんといいます。
 てんかんの診断に欠かせない検査の1つに脳波検査があります。頭に電極を付け、神経細胞の微弱な電気信号を記録し、その変化を見ます。正常な時にはさざ波のような波形ですが、発作が起こると鋭くとがった波形が見られます。発作は様々な刺激や睡眠によって起こりやすくなるため、検査では眼を閉じた状態で光を当てたり、少し早めの呼吸を4分間して頂き、さらに眠った状態の脳波も記録します。検査にかかる時間は1時間半程度で痛みはありません。睡眠脳波を記録するため、検査前は居眠りや昼寝をしないようお願いしています。

Q.カンピロバクター食中毒について
 暖かくなると増えてくるのが細菌による食中毒です。なかでもカンピロバクターという細菌が引き起こす食中毒が多くみられます。
 カンピロバクターは、主に鶏肉などの食品を介して人に感染します。感染から発症までは2~7日と比較的長く、発熱・倦怠感・頭痛・吐き気・腹痛などの症状とともに、水溶性の下痢が起こります。このような症状があって食中毒が疑われるときには、便を培養して原因となる細菌を探します。カンピロバクターによる食中毒の場合、染色して顕微鏡で見ると特徴的ならせん状の細長い菌体が確認できます。
 カンピロバクター食中毒は、自然に軽快する場合がほとんどですが、免疫力の低下した人や小児および高齢者では重症化することがあります。カンピロバクターは熱や乾燥に弱いので、生肉はしっかりと加熱すること、調理器具は熱湯消毒し乾燥することが重要です。

Q.腹部超音波(腹部エコー)検査
 近年、生活習慣病や癌への関心がたかまっています。検診や人間ドッグの受診者も増えていますが、その項目の一つに腹部超音波(腹部エコー)検査があります。
 超音波検査は人には聞こえない音波を使い、プローブを体に当てることで画像化し観察します。体に無害で安全に行なえ、痛みもありません。食後は体内にガスがたまりやすく見えにくくなってしまうため、通常は当日絶食にて検査し、約20分程度で終了します。
 検査の対象となる臓器は主に、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓、腹部大動脈、膀胱、前立腺、子宮、卵巣です。がんなどの腫瘍診断のほか、脂肪肝の程度、胆石・尿管結石などの石灰化病変、のう胞や胆のうポリープの有無など、色々な疾患の発見、評価を目的に行なわれます。

Q.基準範囲とは?
 健康診断などで行う血液検査の報告書には、検査結果の数値と共に「基準範囲」が記載されています。結果が基準範囲より高いと「H」、低いと「L」というマークが付いています。この「基準範囲」とは、大勢の健康な人の検査値のうち95%が含まれる値の範囲をいい、体に異常があるかを判断するための物差しの役割をしています。
 しかし、検査値は年齢や性別、食事、運動、環境など様々な要因でも変動するもので、個人差があります。そのため基準範囲に入っていないからといって、すぐに異常というわけではありません。
 大切なのは、定期的に健康診断を受け、健康な時の検査値を把握しておくことです。そして、体に何らかの不調が起きた時には、その値と比較することにより病気の原因を見つける手掛かりになります。

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