検査の豆知識 2016年

Q.ヘリコバクターピロリ菌の検査
 ヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)は胃の粘膜に生息する細菌で、一度感染すると除菌しない限り棲み続けるといわれています。胃炎や胃潰瘍、胃癌など胃の疾患の原因となることもわかっています。
 ピロリ菌の検査には、医師が内視鏡を使って直接胃の粘膜を観察する他に、内視鏡を使用せず比較的簡便にできる方法もいくつかあります。1つめは尿素呼気試験といい、ピロリ菌が尿素を分解して二酸化炭素を作るという性質を利用した検査で、検査薬を用い吐く息を採取して行います。2つめは抗体検査で、ピロリ菌に感染するとそれに対する抗体が産生されます。その抗体が血液や尿の中にあるかどうかを調べます。3つめは抗原検査で、糞便中に排泄されたピロリ菌の抗原を調べます。
 このように検査方法はさまざまです。感染の有無を診断する場合、または治療した後の効果判定を行う場合など患者さんの状態に応じて選択されています。

Q.肺炎球菌について
 肺炎球菌は、肺炎の原因として代表的な細菌です。のどや鼻の奥にいる身近な菌ですが、莢膜とよばれる厚い膜でおおわれているため、白血球の攻撃に強く、体力の低下をきっかけに重症な肺炎を引きおこすことがあります。
 肺炎球菌を調べるには、尿中に肺炎球菌抗原という物質を検出することや、痰を培養して菌を見つける検査などがあります。尿中の肺炎球菌抗原の検査は簡便で、15分ほどで結果が出るため、肺炎が疑われる場合にまず行われる検査です。痰の培養検査は、原因となる菌を育てて、菌の種類とその菌にどの薬が効くかを調べます。結果が出るまで数日かかりますが、より効果のある薬がわかるため、とても重要な検査です。
 65歳以上の人は、予防のために肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。当院でも接種できますのでお問い合わせください。

Q.乳腺超音波検査
 現在、日本人女性に最も多いがんは乳がんであり、約11人に1人がかかると言われています。乳がんの検査方法のひとつとして乳腺超音波検査があります。
 検査はまず上半身裸になった状態でベッドに仰向けに寝ます。超音波の機械を乳房に当て、乳房内部を画像化して観察します。腫瘤(しゅりゅう)が見つかれば、さらに形や内部の様子を見ていきます。例えば、腫瘤の形が楕円形で内部が均一に見られれば良性であることが多く、形がいびつで内部が不均一に見られれば悪性であることが多いです。乳がんの診断には他にも、血液検査やマンモグラフィー、細胞診などの検査があり、これらの検査結果から総合的に判断されます。
 超音波は人体に無害なので妊娠中の方でも安心して検査を受けられます。また、乳がんは年齢問わず患う可能性があるので、定期的に検診を受けることをおすすめします。

Q.水虫の検査
 水虫は、真菌(カビ)の一種である白癬菌が、皮膚の表面にある角質層に感染することによって起こる病気です。白癬菌は手や爪にも感染しますが、9割近くは足に感染し、かゆみ・水ぶくれ・皮むけなどの症状を引き起こします。
 水虫の検査には顕微鏡検査や培養検査などがあります。顕微鏡検査は、まず白癬菌が感染していると思われる皮膚の一部をピンセットなどでとります。この時、白くむけた皮や水ぶくれの膜をとるので、痛みはありません。とった皮膚に強アルカリ溶液をかけて皮膚を溶かしたのち、白癬菌がいるかどうかを顕微鏡で直接観察します。
 白癬菌は、高温多湿な環境を好むことから主に靴で繁殖します。また、共用の足ふきマットやスリッパ等から感染することも多いため、手足や家庭内環境を清潔に保つことが重要です。

Q.風が当たるだけで痛い!? 「痛風」
 痛風は体の中に尿酸がたまる事によって起きる病気です。尿酸は細胞の崩壊や、エネルギー代謝によってできた体の老廃物で、腎臓から尿と一緒に排泄されます。しかし、ある一定量を超えると尿酸結晶となって関節などにたまりやすくなります。関節液中にこの結晶ができると、体内の白血球が溶かそうとして攻撃するため激しい痛みが起こります。また、尿酸結晶は腎臓にも沈着しやすく腎機能の低下を引き起こします。
 痛風を調べるためには、血液中の尿酸値の測定、腎機能を評価する尿素窒素(BUN)やクレアチニンの測定や尿検査、関節液の検査などを行います。この関節液の検査とは、関節液を抜いて尿酸結晶の有無を顕微鏡で見て調べます。先の尖った針状の結晶が尿酸結晶で、これが見られると痛風と診断されます。

Q.深部静脈血栓症と検査
 主に脚の中心を走る太い静脈に血の塊(血栓)ができる病気を深部静脈血栓症といいます。この病気は、飛行機旅行やドライブ、災害時の避難生活など、脚を動かさない姿勢が長時間続いて血流が悪くなること(いわゆるエコノミークラス症候群)や、脱水による血液の濃縮などが原因で起こります。
 血栓の有無を調べる検査には、体の表面に超音波を当てて血管を観察する方法があります。また、血液検査でDダイマーの量を測定します。Dダイマーは血液中に血栓が存在すると高値になるため、数値が正常であれば血栓はできていないといえます。
 血栓の一部が血流に乗って肺の血管に詰まると呼吸困難が生じ、重症の場合は生命に関わります。脚に急な痛みや腫れ、赤みが出た時は医療機関を受診してください。活動的な日常生活を送り、血流を良くすることが予防につながります。

Q.1日の塩分摂取量はどのくらい?
 厚労省が目標値に定めている健常人の1日の塩分摂取量は、男性が8.0g未満、女性が7.0g未満です。塩分を取り過ぎると血液中の塩分濃度が濃くなり、それを薄めようとする作用が働くため、のどの渇きやむくみなどの症状が出ます。さらに、高血圧症や動脈硬化症、腎臓病などさまざまな病気を引き起こす原因にもなります。
 1日の塩分摂取量は尿を使って調べます。24時間すべての尿を溜め、その尿量とナトリウム量を測定し算出します。ほかに1回の尿で行う簡易的な検査もあります。ナトリウム量とクレアチニン量を測定し、年齢・身長・体重を用いて算出する方法や、尿に試験紙を浸すだけでおおよその量がわかる方法もあります。
 試験紙での検査は、地域の班会でも行っており、どなたでも簡単にできますのでぜひご参加ください。

Q.採血後はしっかりと押さえましょう!
 採血後、針を刺した場所が腫れて痛みが出たり、内出血を起こして青あざのようになることがあります。これは血管から血液が漏れて皮膚の下に広がるために起こる現象です。
 原因の一つとして、血管にあいた穴がふさがるまでしっかりと止血ができていないことが挙げられます。十分に止血するために、採血後は絆創膏の上から3~5分間、強く押さえて下さい。この時に揉むと、ふさがっていない血管から血液が漏れて内出血してしまいます。
 また、止血が不十分な状態で押さえるのをやめたり荷物を持つと、採血した腕に力が入って衣服が汚れるほど出血することがあります。血液の流れを良くする薬を飲んでいる方は特に血が止まりにくいため、10分以上押さえて止血をしてください。
 内出血が起こり青あざのようになった場合でも、通常は1~2週間程度で消えるので心配はいりませんが、腫れや痛みが長引く場合は医療機関を受診してください。

Q.穿刺(せんし)吸引細胞診検査とは
 穿刺吸引細胞診とは、皮膚の上から触るとしこりがあったり、腫れているときに、それが何かを診断する検査です。おもに乳腺や甲状腺、皮膚の下にあるリンパ節などを対象に行われます。
 検査は、しこりや腫れているところに直接細い針を刺して細胞を吸引します。手で触れたり、超音波を当てて、しこりの位置や大きさを確認しながら針を刺します。そして、とれた細胞をスライドガラスに塗り、染色をして顕微鏡で観察します。しこりを作っている細胞がどんな顔つきをしているかを見て、良性か悪性かを判断します。
 検査時間は10分程度で、患者さんへの体の負担が少なく、重大な合併症の危険はほとんどありません。何より細胞を直接目で見ることができるので、多くの情報を得ることができ、診断をするのにとても重要な検査です。

Q.脂質異常症(高脂血症)
 私たちの血液中にはコレステロールや中性脂肪など、「脂質」と呼ばれる物質が含まれています。脂質は細胞の膜やホルモンの材料になったり、エネルギーの貯蔵庫になったりと体の機能を保つ大切な役割を担っています。
 脂質異常症はLDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪が増えすぎている状態、またはHDL(善玉コレステロール)が少なくなっている状態を言い、血液検査で調べることができます。採血した血液を遠心分離器にかけると、正常な上澄みは黄色く透明ですが、脂質異常があると牛乳のように白く濁ります。これを「乳(にゅう)び」と呼びます。
 脂質異常症は動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞や脳卒中などの危険性が高くなります。健診などで脂質異常を指摘されている人は、進行を防ぐために適切な治療を受ける必要があります。自覚症状がなくても放置せず、受診をお勧めします。
脂質異常症

Q.精密呼吸機能検査(DLco)
 肺には、空気を入れたり出したりする「換気」の機能と、吸い込んだ空気中の酸素を血液に取り込んで二酸化炭素を排出する「ガス交換」の機能があります。精密呼吸機能検査(DLco)は、このうちの「ガス交換」を調べる検査で、身体(動脈血)の中にどれだけ効率良く酸素が取り込まれているかを調べます。
 検査は、身体に無害で特殊な成分のガスを吸って吐き出した時の変化をみます。クリップで鼻を閉じ、マウスピースをくわえ、口だけで呼吸します。技師のかけ声に合わせて限界まで大きく息を吸って、10秒間の息止めをした後、一気に吐き出します。深い呼吸と息止めをしてもらうため、正確な検査結果を得るには患者さん自身の努力と協力が不可欠となる検査です。
 この検査は肺の機能をより詳しく調べることができ、呼吸器疾患の診断・鑑別、薬剤による肺への副作用などの評価に用いられます。
精密呼吸機能検査

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