臨床検査科

職場使命

1患者さんの権利・安全・満足を
第一に追求します。
2検査データの精度確保に努め、
正確なデータを迅速に提供します。
3研修会や学会などに積極的に参加し、
最新の検査情報と技術の習得、
および提供に努めます。
4他部門との連携を密に保ち、チーム医療の一員として
積極的に行動し発言出来る職場を目指します。
5地域の健康作りと病院の管理運営に貢献し、
患者さんや病院職員から信頼される検査室を目指します。
6平和と人権、憲法を守り実践する活動を通して、民医連医療への共感とやりがいを育み人材育成に努めます。

業務紹介

概要

臨床検査科では、「臨床検査技師」という国家資格を持った技師が総勢32名所属しており、1階の採血・採尿センター、2階の生理機能検査室、4階の中央検査室でそれぞれ働いています。
24時間365日、精度の高い正確な検査データを迅速に提供するとともに、チーム医療の一員として患者さんの治療に貢献します。

採血・採尿センター

主に外来患者さんの採血や採尿を行っています。
患者さんご自身が自宅で採取した喀痰、蓄尿、早朝尿、便などを受け取る窓口にもなっています。

その他

  • ピロリ菌の検査(尿素呼気試験)
  • 各種負荷試験検査
    (経口ブドウ糖負荷試験など)
  • 糖尿病関連検査
    (皮下連続式グルコース測定、神経伝導速度検査など)
献血・検尿センター:画像
献血・検尿センター:画像

生理機能検査室

生理機能検査は、医療機器を使って身体の機能や状態を調べる検査で、主に臨床検査技師が各種検査を行っています。
検査から得られた情報は、健康状態の確認、病気の診断や治療などに役立てられています。

心電図

心電図

心臓が拍動するときに出る小さな電気信号を記録する検査です。手足と胸に電極を付け、ベッドに仰向けに寝て記録をとります。痛みを感じることはありません。
(所要時間:約5分)

ABI/PWV

ABI/PWV

主に足の太い血管の動脈硬化の状態がわかります。両腕と両足に血圧計の帯を巻いて血圧を測定します。
若干の圧迫感を感じることがあります。
(所要時間:約10分)

超音波検査

超音波検査

体の外から機器を当てて臓器の様子を観察したり、心臓の動きや血管の血流をみたりする画像検査です。心臓、腹部、乳腺、甲状腺、頸動脈、足の血管などを調べます。ゼリーを塗って機器を当てます。痛みはほとんどありません。
(所要時間:検査内容により20分~60分)

呼吸機能検査

呼吸機能検査

肺が膨らんだ時の大きさや、空気の通り道の状態を調べる検査です。マウスピースをくわえて、臨床検査技師の掛け声に合わせて呼吸をします。
(所要時間:検査内容により15分~60分)

運動負荷心電図

運動をしたときの心電図の変化をみる検査です。階段やランニングマシーンを使って運動をします。
(所要時間:検査内容により20分~45分)

ホルター心電図

小型の記録器を胸に取り付け、日常生活を過ごす間の心電図の変化を調べる検査です。取り付けの期間は24時間と2週間があり、検査の目的に応じて医師が選択します。
(所要時間:取り付けに約15分)

神経伝導検査

電気刺激が伝わる速さなどを調べて、神経の状態をみる検査です。皮膚の上から弱い電気を当てるので、ピリピリとした痛みを感じることがあります。
(所要時間:検査内容により60分~90分)

脳波検査

頭皮に電極を付け、神経細胞の微弱な電気信号を記録します。検査では眼を閉じた状態で光を当てたり、少し早めの呼吸をしていただいたり、さらに眠った状態の脳波も記録します。痛みを感じることはありません。(所要時間:検査内容により60分~90分)

中央検査室

生化学・免疫血清検査

患者さんから採取された血液や尿、体液などを対象として生化学的検査や免疫学的検査を行っています。
生化学的検査では、生化学自動分析装置を用いて、たんぱく質、コレステロール、鉄、酵素、電解質などを測定しています。
免疫学的検査では、全自動化学発光免疫測定装置を用いて、がんの診断に用いられる腫瘍マーカー、肝炎ウイルスなどの抗原や抗体の検査、甲状腺ホルモンなどを測定しています。

これらを測定することで病気の診断や治療の経過観察に役立てます。
夜間・休日も含めた24時間体制で、迅速かつ正確な検査結果報告に努めています。

生化学自動分析装置JCA-BM6070

生化学・免疫インテグレーション装置Alinity c2i

主な検査項目

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蛋白関連検査 総蛋白、アルブミン、プレアルブミン
酵素関連物質 AST、ALT、LD(LDH)、ALP、γGTP、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、CK、CK-MB
脂質関連物質 総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪
電解質・金属
・その他
ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、無機リン、マグネシウム、鉄、不飽和鉄結合能(UIBC)、総鉄結合能(TIBC)、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総ビリルビン、直接ビリルビン、浸透圧、アンモニア、ICG
リウマチ
関連検査
リウマチ因子、抗CCP抗体
糖尿病
関連検査
血糖、グリコアルブミン、尿中微量アルブミン、インスリン、Cペプチド
免疫血
清学的検査
IgG、IgA、IgM、IgE、C3、C4、CRP、
β2マイクログロブリン、マイコプラズマ抗体半定量、寒冷凝集反応
腫瘍マーカー
関連検査
CEA、AFP、CA19-9、PIVKA-Ⅱ、CA125、PSA、フェリチン
甲状腺
関連検査
TSH、FT3、FT4
心筋マーカー
検査
BNP、CK-MB、トロポニンI
感染症
関連検査
HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV 抗体、 HIV抗原/抗体、TP抗体、RPR、PCT
血中薬物濃度 ジゴキシン、バルプロ酸Na、バンコマイシン

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血液検査

血液検査では、患者さんから採取された血液中の赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビン濃度等を自動分析機で測定し、貧血や炎症の状態、血液細胞の異常等を検査しています。それにより貧血や感染の有無、出血傾向などがわかります。赤血球や白血球等の血球成分に数や形態的な異常が疑われた場合、血液の標本を作製・染色して臨床検査技師が顕微鏡で注意深く観察します。
凝固線溶検査では、血液がきちんと固まり出血傾向がないかのチェックや血栓症の治療に使用される抗凝固薬(ワーファリン等)のモニタリング、先天性凝固異常がないかなどを検査しています。
また、これらの検査機器は24時間体制で正確かつ迅速に検査結果を提供できるよう日々厳しく精度管理を行い、検査の質を維持しています。

主な検査機器・検査内容

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検査機器名(メーカー) 内容 主な検査項目
XN-3100
(シスメックス株式会社)
多項目自動
血球分析装置
白血球、赤血球、血小板、
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値等
SP-50
(シスメックス株式会社)
塗抹標本作製装置
CN-6000
(シスメックス株式会社)
全自動血液
凝固測定装置
PT、APTT、Fib、FDP、
Dダイマー、AT3、FMC
モニター20
(株式会社常光)
全自動赤血球沈降
速度測定装置
赤血球沈降速度

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XN-3100

CN-6000

輸血検査

輸血とは病気やケガ・手術などで赤血球や凝固因子が不足した人にその成分を補充する治療法のことです。効果がある反面、一定のリスクも伴いますので、安全な輸血療法が出来るよう輸血検査を行っています。
また、血液製剤の管理も行っています。

主な検査機器・検査内容

検査機器名
(メーカー)
内容
全自動輸血装置 IH500
(Bio-Rad)
ゲルカラム遠心凝集法カード用
全自動輸血装置 IH500(Bio-Rad)

各検査内容

血液型検査

ABO血液型、RhD血液型検査を
行っています。

交差適合試験(クロスマッチ)

献血で提供された血液を患者さんに安全に輸血できるか適合性を調べる検査です。

直接クームス試験

自分自身の赤血球と反応してしまう抗体(自己抗体)の有無を調べる検査です。

血液製剤の管理

輸血用血液製剤(赤血球製剤・新鮮凍結血漿製剤・血小板製剤)、アルブミン製剤の適切な保管管理を行っています。

不規則抗体スクリーニング、同定

輸血や妊娠・出産をすると不規則抗体という他の人の血液と反応する抗体が作られることがあります。不規則抗体が体内に存在すると輸血時に様々な副作用(アレルギー、発熱など)が起きてしまうことがあります。それを防ぐための検査です。
不規則抗体スクリーニングでは不規則抗体の存在の有無を検査し、不規則抗体同定ではどのような種類の抗体かを検査しています。

貯血式自己血採血

予定手術の時に患者さん自身の血液を輸血できるように自己血採血を行っています。
採血のサポートから製剤の保管管理までを行っています。

一般検査

一般検査では、主に尿や便などを対象としてスクリーニング検査(病気かどうかのふるい分け)を行っています。 尿は全身を循環した血液が腎臓でろ過され膀胱に溜まり排出されたもので、尿検査では腎臓・膀胱の病態を知ることができます。

  • 尿定性検査は、試験紙を用いて
    蛋白、糖、潜血などの
    有無を調べます。
  • 尿沈渣検査は、尿中にある細胞や成分を集め、顕微鏡で細胞の種類や結晶、細菌の有無などを観察します。
  • 便潜血検査は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査で、主に大腸癌の早期発見に役立ちます。
    正しく検査を行うためには適切に便を採取することが大切です。

病理検査

組織診

患者さんから採取した組織の一部や臓器を標本にし、癌の診断には欠かせない病理学的診断を行っています。良性なのか悪性(癌)なのか、癌であればどのような種類の癌か、手術で癌をすべて摘出できているか、などを肉眼だけでなく顕微鏡で観察して診断します。診断は「病理医」と呼ばれる専門の医師が行います。

細胞診

患者さんから提出された痰や尿、子宮頸部・内膜から擦り取った細胞などを顕微鏡で観察し、悪性の細胞がないかどうかを調べます。その他にも、乳腺や甲状腺の腫瘍が疑われる場合は、直接病変に針を刺して細胞を採取し、どのような種類の病変なのかを検査します。
これらの細胞を観察するのは「細胞検査士」という認定資格をもった臨床検査技師ですが、悪性の疑いがある場合には、病理医が最終診断を行っています。

自動染色装置

自動染色装置
ティシュー・テック プリズマプラス
(サクラファインテックジャパン株式会社)

細胞診の顕微鏡写真

細胞診の顕微鏡写真(子宮頸部:HPV感染細胞)

細菌検査

細菌検査室は、自動機器(BDフェニックスM50、リアルタイム濁度測定装置LoopampEXIA、全自動遺伝子解析装置FilmArrayシステムなど)を導入し、患者さんより提出される検体について塗抹検査、培養検査、同定・感受性検査、遺伝子検査等を行っています。
特に緊急性を要する血液培養については、夜間・休日であっても24時間体制で日当直に入る技師が塗抹検査を行い報告する体制が整っています。 また、研修医に対するグラム染色カンファレンスも定期的に行っており、実際に染色を行いながら感染症の起因菌を推定するトレーニングも行っています。

塗抹検査

グラム染色の顕微鏡写真

グラム染色の顕微鏡写真

尿や喀痰などの検体をスライドグラスと呼ばれる薄いガラスに塗り付けます。
その後、細菌を観察するためのグラム染色と呼ばれる染色を行うことで細菌の有無や形、量などが顕微鏡で確認できます。

培養検査

培地に発育した細菌の集落(コロニー)

培地に発育した細菌の集落(コロニー)

採取された検体を、菌が発育するために必要な栄養が入った培地と呼ばれる寒天に塗布します。この培地を適切な温度に置いておくと、半日~数日で肉眼でも観察可能な細菌の集落(コロニー)を形成します。
この検査を培養検査といいます。

薬剤感受性検査

全自動同定感受性検査システム BDフェニックスM50

全自動同定感受性検査システム
BDフェニックスM50

同定検査で細菌の菌種が確定すると、抗菌薬を用いた治療が行われます。 同じ名前の細菌でも、同じ薬が効くとは限らず、治療が長引く中で本来効くはずの薬が徐々に効きにくくなってくる「薬剤耐性菌」が出現する可能性があります。感染の原因となっている細菌に対してどの薬が効くかを調べるための検査が薬剤感受性検査です。

遺伝子検査

FilmArrayとLoopampEXIAの2台の装置を用いて、
新型コロナウイルスをはじめとした呼吸器感染症を引き起こすウイルスや結核菌を含めた細菌などの遺伝子検査を行っています。

全自動遺伝子解析装置FilmArrayシステム

リアルタイム濁度測定装置
LoopampEXIA

同定検査

培地に発育した細菌を用いて様々な検査を行うことで
その細菌の性状を確認し、菌種を確定する検査のことをいいます。

取得専門・認定資格一覧

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資格 団体名 人数
超音波検査士(消化器) 日本超音波医学会 5
超音波検査士(循環器) 日本超音波医学会 3
認定臨床微生物検査技師 日本臨床微生物学会 1
感染制御認定臨床微生物検査技師 日本臨床微生物学会 1
二級臨床検査士(循環生理) 日本臨床検査同学院 5
二級臨床検査士(血液) 日本臨床検査同学院 2
二級臨床検査士(微生物) 日本臨床検査同学院 4
二級臨床検査士(免疫血清) 日本臨床検査同学院 2
二級臨床検査士(臨床化学) 日本臨床検査同学院 3
緊急臨床検査士 日本臨床検査同学院 11
日本糖尿病療養指導士 日本糖尿病療養指導士認定機構 1
地域糖尿病療養指導士 東北信地域糖尿病療養指導士育成会 1
細胞検査士 日本臨床細胞学会 2
国際細胞検査士 国際細胞学会 1
分析機器・試薬アナリスト 生物試料分析科学会 1
健康食品管理士 日本食品安全協会 3
特定化学物質及び
四アルキル鉛等作業主任者
日本作業環境測定協会 2
有機溶剤作業主任者 1
毒物劇物取扱責任者 1

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実績

検査件数

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区分 2020年度 2021年度 2022年度
生化学・血清 112,852 117,344 114,985
血液 65,901 68,547 67,062
尿・便 24,803 25,723 25,208
細菌 8,698 11,296 23,419
血糖・HbA1c 86,539 87,547 87,288
輸血(RBC実施単位数) 2,068 1,902 1,664
心電図 27,883 29,320 29,583
ホルター心電図 1,522 1,663 1,523
ABI・PWV 3,414 3,524 3,099
TMT 89 134 90
肺機能 608 340 378
超音波検査(腹部) 5,889 6,138 5,830
超音波検査(心臓) 5,446 5,629 5,603
経食道エコー 191 226 209
表在超音波 1,997 2,352 2,203
心臓カテーテル 1,422 1,358 1,444
聴力検査 282 362 326
神経伝導速度
(DPN検査含む)
635 622 578
脳波 72 82 66
その他生理検査 142 95 118
病理組織診断 1,304 1,385 1,143
細胞診断 2,186 2,358 2,312
病理解剖 10 8 7

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