少ない放射線量で、乳腺や病変をはっきりと写し出すために圧迫して撮影を行います。個人差はありますが、圧迫による痛みを伴います。
検査内容によって撮影方法が異なる場合がありますがMLO(内外斜位撮影)・CC(頭尾撮影)撮影が一般に行われています。MLOは乳腺全体を描出するのに優れ、MLOで写しにくい部分をCC撮影で補っています。
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圧迫している時間は1回の撮影で通常10秒程度、3Dマンモグラフィは30秒程度となります。 次の項目に該当する方は検査を受けられない場合があります。検査前に必ずお申し出ください。
主治医の判断により撮影する場合もあります。
●妊娠中の方、妊娠の可能性のある方
●心臓ペースメーカーを挿入している方
●植え込み型除細動器(ICD) を挿入している方
●V-Pシャント術(頭部) を挿入している方
●豊胸手術を受けた方
●その他、胸部手術(心臓・肺等)を受けた方
●その他注意していただきたいこと
・制汗スプレーやパウダーは病気のように写る場合があるため、事前に拭き取ります。
・ネックレス、眼鏡は破損の可能性があるため、検査前に外します。
・頭髪が長い方は、機械に挟まる可能性があるため、まとめます。
2017年8月よりSIEMENS社製 MAMMOMAT Inspirationが稼働しています。機器が更新され3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)撮影ができるようになりました。 トモシンセシスはTomography(断層)とSynthesis(合成)で作られた造語です。通常マンモグラフィは立体的な解剖学情報を二次元表示しています。その問題点を解消すべくトモシンセシスは作られました。
高濃度乳房(デンスブレスト)の場合は、乳腺組織も腫瘤も真っ白に写ってしまうため、正確な診断ができない場合があります。X線管を回転させ、断層撮影することにより、高い空間的分解能で診断における感度と特異度を向上させ、高い診断能力を発揮します。
1mm厚の写真で表示され、日本人に多いとされている高濃度乳房にも有効です。
短所としては、使用する放射線量が増える点があります。また圧迫する時間が従来のマンモグラフィより長くなります。
Q:乳がんの発症率はどのくらいですか?
A:日本人女性の11人に1人が乳がんに罹ると言われています。日本人女性が罹るがんの1位が乳がんで、発症は20代から認められ最も多いのが40~60代です。
日本では年間80000人が乳がんに罹り、死亡率も年間13000人を超え、増加の一途をたどっています。
Q:乳がんに罹りやすい人はいますか?
A:遺伝的なものと環境的なものがあります。乳がんの危険因子には以下のようなものが報告されています。あてはまる人が必ずがんになるというものではありませんが、罹る可能性が高いことを自覚しましょう。
○授乳経験ない方
○初産年齢が高い方
○未産の方
○閉経後ホルモン補充療法を行っている方
○乳がんの家族歴がある方
○良性乳腺疾患の既往のある方
Q:早期発見するためには何をすればいいですか?
A:自己検診と定期検診を行いましょう。自己検診とは月に1回程度のセルフチェックのことです。自分で触診を行い、しこりや分泌物がないか確認します。定期検診は医療機関での画像検査を含めた検診のことで2年に1回の実施が推奨されています。症状がある方は検診ではなく、すぐに病院へ行きましょう。また、検診は1度受ければ良いというものではありませんので継続して行うことが大切です。
Q:高濃度乳房(デンスブレスト)って何ですか?
A:乳房内の乳腺と脂肪の量によって、【脂肪性】【乳腺散在】【不均一高濃度】【極めて高濃度】の4段階で評価し、乳腺内の病気の見つけやすさの参考としています。【不均一高濃度】【極めて高濃度】を合わせて高濃度乳房と呼びます。個人の体質のようなものですから過剰に心配する必要はありませんが、乳腺の量が多いため乳腺疾患が非常に見つけにくいことやわずかに乳がんの発生リスクが上がると言われています。
・日本乳癌検診学会ガイドライン・国立がん研究センターがん対策情報センターHP
・認定NPO法人乳房健康研究会HP・社団法人日本家族計画協会資料