当院外科では、「患者さん一人一人の病状に合わせた最適な治療」を提供できるように「そけいヘルニア外来」を長野市で初めて開設しました。
そけいヘルニアに対して、患者さん一人一人に適した手術方法や麻酔方法を考慮し、手術を行っています。立ったときや重いものを持ったときに、そけい部が膨らみ、痛みや違和感を伴うことがある方、不安がある方はぜひ一度ご相談ください。
診療場所 : 外科外来
担当医 : 成田 淳
なお、そけいヘルニアの診療は、専門外来だけでなく、通常の一般外科外来でも随時行っています。
そけいヘルニアとは、昔「脱腸」と言われていた疾患です。足の付け根(そけい部)の筋膜が弱くなったため、立った時など腹圧がかかった時に足の付け根がふくらむ状態です。
ピンポン玉くらいの大きさのしこりやふくらみが現れることが多いようです。成人の場合男性に多い疾患ですが、女性にもみられます。


成人のそけいヘルニアは自然治癒することはないため、治療方法は手術加療です。
また嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になると腸閉塞や腸壊死の危険性があるため、緊急の処置が必要です。
腹腔鏡手術 | ・全身麻酔下におなかに小さな孔を数ヶ所開けて、腹腔鏡でヘルニアの穴を確認し、穴をメッシュでふさぐ方法です。 |
・TEP法とTAPP法があります。 | |
・手術痕が3か所と小さいためほとんど目立ちません。 | |
・手術時間は1時間30分~2時間です。 | |
鼠径部切開法 | ・脊椎麻酔下などにそけい部の皮膚を約5cm切って穴を探し、穴をメッシュでふさぐ方法です。 |
・ダイレクト・クーゲル法など近年TIPPとよばれる3つのヘルニアに対応する方法や、メッシュプラグ法などがあります。 | |
・手術時間は30分~40分程です。 |
TEP法は英語のTotally extraperitoneal approachの略で、 腹腔鏡(スコープ)を臍から挿入し,2本の操作鉗子(かんし)を通常臍の下の正中線上に縦に2カ所入れ内視鏡の画像を映し出したモニターを見ながら行う手術です。TEPはTAPPと異なり腹腔内で操作は行わず、腹壁内を剥離して(はがして)空間を作成し、ヘルニアの穴(ヘルニア門)をメッシュでふさぎます。
ヘルニアの袋を処理しメッシュを留置します。

TAPP法は英語のTransabdominal preperitoneal approachの略で、腹腔鏡(スコープ)を臍から挿入し,2本の操作鉗子(かんし)を通常臍の左右の側腹部に2カ所入れ内視鏡の画像を映し出したモニターを見ながら行なう手術です。TAPPでは腹腔内からヘルニア部を観察し、腹膜を切って空間を作成し、ヘルニアの穴(ヘルニア門)をメッシュでふさぎます。その後、腹膜を縫い閉じます。
メッシュを留置し腹膜を縫合閉鎖します。

そけい管を開放し、腹膜前腔を剥離してメッシュを留置する方法です。近年TIPP(transinguinal preperitoneal repair)とも言われています。 手術時間は30分~40分程度です。

入院期間 | 3泊4日~ | ||
入院費用(概算) | 腹腔鏡手術 | 3割負担 150,000円 | |
1割負担 50,000円 | |||
そけい部切開法 | 3割負担 66,000円 | ||
1割負担 22,000円 |
手術後
・手術数時間後より歩行・食事・シャワーが可能です。
退院後
・デスクワークなど、おなかに力が入らない仕事は退院翌日より復帰可能です。