検査の豆知識 2011年

Q.尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE)とは?
 これらは主に腎臓の働きをみる検査項目で、タンパク質が体を動かすために使われたあとの燃えかすです。
 通常は血液中から腎臓を通って、水分と一緒に尿になって体の外へ捨てられていますが、腎臓の働きが悪くなって体外へ排出される量が減ると血液中に溜まっていくことになり、検査値が高くなります。数値が上昇した時には、すでにある程度腎臓の働きが悪くなっている可能性があるため、定期的に健診を受けて調べることが大切です。
 また腎臓以外に原因があって基準値を外れている場合もあるので、尿検査など他の検査項目とあわせて診断の参考にしています。

Q.AST(GOT)、ALT(GPT) 、γ-GTPとは?
 これらの検査項目は主に肝臓の機能をみるものです。肝細胞の中に存在する酵素であり、何らかの原因で肝細胞が障害されると血液中に出てくるため検査値が高くなります。原因としてはウイルス性や薬剤性、アルコール過剰摂取、栄養過多など様々です。また、肝臓は充分な余力を持っていたり再生能力があることから、少しくらい悪くなっても自覚症状が出にくいため、定期的に健診を受けて調べることが大切です。
 ただし、AST・ALTは心臓や筋肉の細胞にも多く含まれるため、これらの病気でも高くなります。γ-GTPは胆汁の流れが悪くなって上がることもあります。このように肝臓以外の異常でも高値になることがあるため、その他の検査項目と合わせて総合的に判断されます。

Q.中性脂肪(トリグリセライド:TG)とは?
 中性脂肪(TG)は脂質の一種で、食事から摂取するものと肝臓で作られるものがあります。エネルギー源として皮下や内臓に蓄えられ、食事が摂れない時や激しい運動をすると使用されます。また、内臓を衝撃から守ったり、体温を保つという重要な役割もあり、体にとって必要なものです。
 ただし、カロリーの過剰摂取やアルコールの摂取、あるいは運動不足でエネルギーを使わないでいると、体脂肪としてどんどん体内に溜まっていきます。そして、動脈硬化やメタボリックシンドロームなど様々な病気の原因となります。
 TGは食後に高くなるため、検査は空腹で行い、前日の食べ過ぎや飲酒にも注意すると良いでしょう。

Q.LDLコレステロール(LDL-C) / HDLコレステロール(HDL-C)とは?
 脂肪の仲間であるコレステロールはそのままでは血液に溶けないため、体内では血液に溶けやすいLDL-C とHDL-Cに形を変えて移動しています。
 LDL-Cには必要なコレステロールを体の隅々まで届ける働きがあります。しかし多すぎるとコレステロールが血管の壁にこびりついて詰まったり血管が硬くぼろぼろになる動脈硬化を起こすことから、LDL-Cは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。一方HDL-Cには血管にたまった余分なコレステロールを回収する働きがあり、動脈硬化を防いでいるので「善玉コレステロール」と呼ばれています。
 コレステロールの数値をみる時には、LDL-Cが多すぎないか、HDL-Cが少なすぎないかをあわせてみることが大切です。

Q.総コレステロールとは?
 コレステロールは脂肪の仲間で、食品から摂取されるものと体内で作られるものがあります。コレステロールにはいくつかの種類がありますが、総コレステロールとは血液中の全てのコレステロールを測定した総量です。
 一部のコレステロールは動脈硬化の原因になることから良くないものという印象があるかもしれませんが、体の細胞の部品になったり、脂肪の消化を助ける成分やホルモンの材料にもなるので、私達の体には必要であり、少なすぎるのも良くありません。
 総コレステロールの数値は年齢とともに徐々に高くなり、特に閉経後の女性は高くなる傾向があります。食事や運動などの生活習慣によっても変化します。

Q.HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とは?
 血液の主成分である赤血球の中にはヘモグロビンという蛋白質があり、全身に酸素を運ぶ働きをしています。ヘモグロビンには血液中のブドウ糖と結合する性質もあり、ブドウ糖と結合したヘモグロビンをHbA1cといいます。血液中のブドウ糖が増える(血糖値が高くなる)と、ヘモグロビンと結合するブドウ糖が増えるのでHbA1cも高くなります。  HbA1cは採血したときからさかのぼって1~2カ月間の血糖状態を教えてくれています。このため、HbA1c値が基準範囲内であれば1~2カ月間の血糖値の推移は良かったといえます。また、直前の食事の影響を受けないという特徴もあり、血糖値と共に糖尿病の診断に有効な検査です。
Q.血糖値とは?
 食べ物に含まれる糖質(糖分)は、私たちの体に入るとブドウ糖に形を変えて血液の中に出てきます。この血液中のブドウ糖のことを血糖といい、血糖値とは血液中にどの位のブドウ糖があるのかを表す数値です。
 血糖値は一日の中でも上がったり下がったりします。特に食事の影響を強く受け、空腹の時の血糖値は低く、食事をとった後は高くなります。血糖値をみる時には、食事の内容や採血をした時間などを考慮する必要があります。
 血糖は体を動かすためのエネルギー源であり、なくてはならないものですが、血糖値は高すぎてもまた低すぎても体に不具合が出てきます。

Q.なぜ、採血するの?
 血液にはいろいろな成分が含まれていて、それぞれが重要な役割を果たしています。そして、その成分の量は、健康な時には一定の範囲内にありますが、どこかに異常があるとその範囲(基準値)から外れることがあります。その変化を調べることが、病気の診断を行う一つの情報源となります。貧血の検査や肝臓・腎臓の働きを調べる検査などがあって、その種類は様々です。また、採血をするとき何本もとられることが多いかと思いますが、これは検査の種類によって容器を分ける必要があるからです。
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