健康な人でもわずかな量は出ています。しかし、膠原(こうげん)病や膀胱炎、腎不全などの腎臓の働きが低下すると、このろか器が壊れたり吸収が追い付かなくなるので、多くのタンパクが尿の中へ出てしまいます。運動・発熱・妊娠・ストレスや、立った時・腰を曲げた時に一時的に尿タンパクが多く出ることがあります。
検査は、特定健診や人間ドッグの項目にも含まれていて、尿を採るだけで簡単に検査を受けることが出来ます。
ケガなどで出血しても、小さな傷であれば自然に出血は止まりかさぶたができて傷は治ります。この過程で重要な働きをしているのが血小板です。血管が破れて出血が起こると、血小板が血管壁に集まってきます。血小板は粘着性を持つため、お互いがくっつき合い大きな塊を作って傷口をふさぎ止血します。
血小板の数が少なくなったり、働きが低下すると出血が止まりにくくなり、内出血による青あざが増えることもあります。
逆に血小板が多くなりすぎると血液が固まりやすくなり、血液が固まってできた血栓が血管をふさぐ心筋梗塞や脳梗塞などになる危険性が高くなります。
数の増減や機能の亢進・低下には、様々な原因があります。まずは健康診断で血小板数を調べることが大切です。
血液中に占める赤血球の容積をパーセントで表した数値で、赤血球の数と大きさ、血液中の水分量で決まります。
Ht値が低い場合は血液が薄いことを意味し、貧血が疑われます。他の血液検査項目とあわせて見ることで、貧血の原因を知る手掛かりとなります。また妊娠中の女性は血液中の水分が増えて血液が薄まるため、低値傾向となります。
反対にHt値が高い時には血液はどろどろして流れにくい状態で、赤血球増多症などが疑われます。また脱水の時には、体内の水分とともに血液中の水分も減少し血液が濃縮するので、高値となります。
一般的に男性の方が高い傾向にあり、女性の月経周期による変動や、新生児は高く老年期には低くなるなど年齢による変動があります。
血色素とも呼ばれ、赤血球中に存在し酸素と結びついて体中に運ぶ働きをしています。鉄を含む赤い色素とタンパク質からできています。酸素運搬能力はヘモグロビンの量に比例します。
ヘモグロビンが少ないことを「貧血」といいますが、貧血には種類があり、おおまかに①出血によるもの、②赤血球が壊れて起こるもの、③赤血球の産生不足によるものに分けられ、赤血球の数や大きさ、1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの量で判断します。赤血球の数とヘモグロビンの量が両方減る貧血は、ヘモグロビン内の鉄不足が原因のことがあります。
また、男性と女性では基準値に違いがあり、一般的に女性のほうが少なく、妊娠や月経周期などにも影響を受け変動します。
血液の中で最も多くを占めている細胞成分で、骨の中にある骨髄というところで作られています。血液が赤く見えるのは、ヘモグロビンという赤い色素を含んでいるためです。
主な働きは酸素と二酸化炭素の運搬です。肺で取り込まれた酸素を受け取って体の隅々へ運び、不要になった二酸化炭素を肺へ運びます。赤血球やヘモグロビンが少なくなると「貧血」という状態になり、酸素の運搬能力が低下することから体内の細胞が酸素不足になり、動悸や息切れ・めまいなど様々な症状が現れます。逆に、何らかの原因により赤血球が多くなりすぎることを「赤血球増多症」といい、血液の粘り気が強く血管が詰まりやすい状態になります。
検査室では赤血球数の測定をしたり、顕微鏡を使って形に異常がないかを観察しています。
白血球は血液中の細胞成分の一つで、骨の中の骨髄(こつずい)という所で作られています。
白血球の主な働きは細菌などの異物が体内に入った時にそれらを排除し体を守ることで、肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)(細菌が原因で起こる腎炎)など細菌に感染している時に盛んに作られて増加します。白血球が極端に少ない場合は、防御機能が低下して感染症にかかりやすくなります。また、骨髄の病気の時には異常な増減を示すことがあります。
白血球数は個人差が大きく、運動やストレス、喫煙などによっても変化し、基準値から外れることが必ずしも異常とはいえません。白血球数の増減は全身状態や他の検査項目と合わせて総合的に判断され、必要に応じて再度血液検査を受けて経過をみることもあります。
血液に含まれている蛋白質の中で、最も多くを占めているのがアルブミンです。食事から摂取した蛋白質をもとに肝臓で作られています。
主な働きとして、血管内の血液量や体内の水分量の調節をしています。血液中のアルブミン量が少なくなると血管内の水分が血管外へ移動し、皮下組織に水が溜まる「浮腫(ふしゅ)」という状態になります。さらに、血液中の様々な物質の運搬もアルブミンの働きです。カルシウムや酵素、ホルモンなどと結合して、それらを必要とする場所まで運んでいます。
アルブミンは栄養不足や肝臓の障害があると生成される量が低下するため、血液中の量は少なくなります。このことから全身の栄養状態を知るための指標に用いられています。
私達の体のほとんどは蛋白質でできています。血液中にも百種類以上の蛋白質が含まれていて、体の細胞の栄養になったり、免疫の役割を果たしています。血液のうち血清と呼ばれる液体部分に含まれる蛋白質の合計量をはかったものがTPです。
通常、血液中の蛋白質量は一定の範囲に保たれていますが、肝臓や腎臓の病気、感染症、脱水、自己免疫疾患や悪性腫瘍(しゅよう) 、栄養不足などによって数値は変化します。TPは健康状態の指標として用いられますが、蛋白質の増減は様々な原因で起こるので、TPの数値をみただけでは何の病気なのかを知ることはできません。基準値を外れた時には、他の血液検査項目や精密検査とあわせて総合的に判断されます。
私たちの身体では、日々細胞が生まれ変わっており、古い細胞が壊されるときに「プリン体」という物質ができます。さらにプリン体が肝臓で分解されると「尿酸」になり、血液中を循環して最終的には尿に混じって体外へ排泄されます。体内で作られる量と排泄される量は一定であるため、血液中の尿酸量は一定に保たれています。しかし、そのバランスが崩れると体内に溜まり沈着していきます。バランスが崩れる主な原因としては、①プリン体を多く含む食品を摂りすぎることによって尿酸が作られ過ぎてしまう。②腎臓の機能が悪くなり、尿酸が排泄されなくなってしまう等が挙げられます。
尿酸値が高い状態が続くと、痛風や尿路結石、動脈硬化など様々な病気を引き起こすといわれています。