検査は仰向けに寝た状態で行います。ゼリーが付いた機械を首に当て、血管を画面に映しながら血管の壁の厚みを計測したり、プラークがあればその様子を観察したりします。
頸動脈は脳に血液を送り届ける血管です。頸動脈にできたプラークの表面がはがれて脳の血管に詰まると脳梗塞(こうそく)の原因となることがあります。またプラークによって血管が狭くなると、脳へ行く血流が低下してめまいを感じることもあります。
頸動脈で動脈硬化がみられる場合は、全身の血管も同様である可能性が高いため、動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞など血管の病気に注意が必要です。
やめたくてもなかなかやめられないのがタバコです。タバコの煙には200種類もの有害物質が含まれ、そのうち依存物質であるニコチンやタールと一酸化炭素(Co)が三大有害物質と呼ばれています。これらの物質は肺で取り込まれた後、血液中に広がっていきます。タバコを吸う人は、大気汚染が進んだ環境に住んでいるのと同じであり、長期間の喫煙は心筋梗塞(こうそく)や動脈硬化・肺がんなどのリスクを高めると言われています。
呼気中のCo濃度を調べることで、Coがどのくらい体に取り込まれているかがわかります。禁煙を始めると呼気中・血液中のCo濃度は下がっていき、運動能力が改善し、心臓発作の確率が下がります。検査は筒をくわえて長めに息を吐くだけで、すぐに結果がわかります。
タバコは依存症であり、誰でも禁煙できるか不安なものです。条件を満たせば保険適応での検査や禁煙治療も可能です。まずは相談してみませんか?
私たちの体には、異物が入ってくるとそれを排除しようとする働きが起こります。異物と認識したものを抗原といい、抗原に対抗するために抗体という物質を作ります。そして再び体内に抗原が入った時、抗体が抗原を攻撃したり、白血球から攻撃物質を出して防御反応を起こします。この防御反応が強くなりすぎて私たちの体に悪影響を及ぼすことをアレルギー反応といい、かゆみやくしゃみ、咳などの症状として現れます。
アレルギーは血液検査で調べることができます。まず、アレルギーの時に過剰に作られるIgE抗体という抗体の総量や、白血球の一種である好酸球が増えているかを調べます。さらに原因物質(抗原)を特定するために、食物やダニ、花粉、カビなどの中で何に対するIgE抗体がどのくらい増えているかを調べます。原因がわかれば、日常生活の中で対策ができたり治療に繋がります。どのような症状が、どんな時に出るかが大切な情報となりますので、受診の時に医師に伝えて下さい。
息切れがする、呼吸が苦しいなどの症状がある時や大きな手術の前に、肺の容量や空気の通り道である気道の広さを調べる検査です。人間ドックでも肺や気道の病気を早期に見つける目的で行われています。
検査中は、息が漏れないように鼻をクリップではさみ、筒状の機器を口にくわえて息を大きく吸ったり勢いよく吐いたりします。
この検査では主に二つのことを調べます。一つ目は肺に入る空気の量(肺活量)です。肺活量が少ない場合は、肺が硬くなったり筋肉が弱くなったりして肺の膨らみが悪くなっている可能性があります。二つ目は胸いっぱいに吸った空気を勢いよく吐き出せるかを調べます。勢いが弱い場合は気道がせまくなっていると考えられます。例えば、たばこを吸う人は、煙によって炎症(えんしょう)やむくみが起きて気道がせまくなるので、勢いよく吐き出せなくなることがあります。
心臓は、心臓の中で起こる電気信号によって絶えず動いています。この電気の伝わりを波形で表したものが心電図です。動悸・息切れをおこす脈の乱れ(不整脈)、高血圧や弁膜症などが原因で心臓にかかる負荷(肥大・拡大)、心臓をとりまく細い血管のつまりによる変化(狭心症や心筋梗塞)など心臓の異常を発見することができます。他にも、血液中のカリウムやカルシウムといった成分の異常なども心電図に現れます。
検査は、波形に乱れが出ないように力を抜いた状態でベッドに寝て、電気信号を見るための電極を手首・足首・胸につけて行います。体に害はありません。一度の検査でわからない不整脈などのために、何度も繰り返して検査をすることがありますし、他にも小型の機械を携帯し、長時間記録して変化を見つける心電図検査もあります。
風疹ウイルスに感染して発熱や発疹、リンパ節の腫(は)れなどが起こる病気が風疹です。咳やくしゃみに含まれたウイルスを周囲の人が吸い込むことで感染します。風疹の予防には、手洗いやマスク着用の徹底、ワクチン接種が有効です。すでにワクチンを接種していたり風疹にかかったことがあれば、血液中に風疹に対する抗体を持っていますが、抗体がないとウイルスが体内に入ってきたときに感染してしまいます。妊娠中の女性が感染すると障害のある赤ちゃんが産まれる可能性がありますし、ワクチン接種が徹底されていなかった20代から40代の男性も注意が必要です。
自分に風疹抗体があるか?症状が出たときにその原因が風疹なのか?を知るには、血液中の抗体の種類と量を検査することでわかります。心配な方は、ワクチン接種の必要性も含めて医師にご相談ください。
便の中に血液が混じっていないかを調べる検査で、大腸癌(だいちょうがん)の早期発見が主な目的です。
便が大腸癌の所を通る時に表面がこすれて出血し、血液が付いた場合に陽性(+)という結果になります。他にも大腸ポリープや潰瘍性(かいようせい)大腸炎、痔(じ)からの出血なども陽性になりますが、大腸癌が隠れているかもしれないため、一度でも陽性の結果が出た場合には医師にご相談ください。また、便の色が赤や黒色に見えるときにも、血液が混じっている可能性があるので受診をお勧めします。
陰性(-)という結果は、今回の検査では血液が混じっていなかったという意味であり、大腸癌ではないということではありません。癌は必ずしも出血するわけではなく、また検査用にとった便に血液が付いていないことがあるからです。正しい結果を得るためにも、容器に同封されている説明書通りに便をとり、冷暗所で保管して速やかに提出してください。
医療生協では便潜血チェック班会を行っています。ぜひご参加ください。
尿の中に糖が出ているかどうかを調べる検査項目です。健常な人では尿にほとんど糖は出てきません。しかし、血液中の糖がある一定の量を超えると、腎臓での糖の処理能力が限度を超えて、尿の中に出てくるようになります。このように血糖と尿糖には深い関係があるため、両方を併せて調べることで、病気の診断に役立ちます。血糖値が高く、尿糖がプラスになる場合にもっとも考えられるのは糖尿病ですが、その他にバセドウ病や心筋梗塞などのさまざまな病気でも考えられます。これに対し、血糖値が正常で、尿糖がプラスの場合は、インスリンや薬で治療をしている糖尿病の方、腎臓のどこかに異常がある場合や、妊娠、生後間もない頃にもありえます。
たくさん糖が出ている場合は、一日分の尿を溜めて、どのくらいの量が出ているか検査することもあります。
尿の中に白血球が出ているかどうかを調べる検査項目で、その量によって(1+)~(3+)と表わされます。白血球は外からの細菌や異物に対してそれらを攻撃する働きがあり、尿の中に出ているときには尿路感染症を起こしている可能性があります。これは体の外から細菌が入り込んで、腎臓から尿の出口までのどこかに炎症が起きている状態で、それが膀胱に起これば膀胱炎であり、他に尿道炎や腎盂(じんう)腎炎を起こすこともあります。
しかし、尿に白血球が出ているからといって必ずしも尿路感染症を起こしているわけではありません。健常な人でも少量の白血球が出ることもあり、女性の場合には尿の採り方によって膣(ちつ)からの分泌物中の白血球が尿に混じってしまうことも考えられます。
いずれにしても早期に受診し、再度検査を受けることをお勧めします。発熱や痛みを伴うような尿路感染症の場合には、放置することで重症化することも考えられます。
尿を試験紙で調べたとき、血液の反応が出ることをいいます。腎臓(じんぞう)から尿の出口までのどこかで出血が起こると、尿に血液が混じります。肉眼でも尿が赤く見えるほど尿中の血液が多い時だけなく、見た目にはわからない程度のわずかな血液量でも尿潜血が(+)(プラス)という結果になります。
尿潜血(+)となる主な病気には、結石や癌(がん)、腎臓病、膀胱炎(ぼうこうえん)などがありますが、女性の月経血混入でも(+)になることがあります。また激しい運動の後などで一時的に血液が混じることもあり、一回の検査結果が(+)であってもすぐに異常とはいえません。
尿潜血が必ずしも病気につながるとはいえませんが、病気を早期に発見するきっかけとなります。尿潜血が(+)と出たら、まずは医師に相談しましょう。