血液中のCa量が低い時には骨からCaが溶け出すことで補充を行い、 高い時には骨に蓄積され、また腎臓から尿中に排泄されることで血液中のCaの量は一定に保たれます。
Caの検査は、採血した血液を遠心分離し専用の自動分析装置で測定します。副甲状腺機能の異常や悪性腫瘍をはじめとして、さまざまな病態で異常値を示すため、血液検査以外にも尿中Caの測定や、各種画像検査等を行い総合的に判断する必要があります。
アミラーゼは食物中のデンプンを分解する消化酵素で、主に膵臓と唾液腺から分泌されます。膵臓や唾液腺に炎症や障害が起こったり、分泌が妨げられると血液中のアミラーゼが増加し、さらには尿の中に漏れ出します。検査では主に血液中のアミラーゼを測定し、異常があった場合など必要に応じて尿中のアミラーゼも測定することがあります。
検査するには、採血や採尿を行い、それぞれ自動分析機で測定します。数値が高い場合、膵臓から分泌される膵型アミラーゼが高いのか、唾液腺から分泌される唾液腺型アミラーゼが高いのかを調べるためにアイソザイムという検査を追加で行います。
膵型であれば膵臓疾患 (膵炎、膵のう胞、膵がん等) 、唾液腺型であれば耳下腺炎等を考えます。さらに、超音波検査やCT検査などの精密検査を行い総合的に診断していきます。
結核は、適切な治療法が開発された現在でも年間1万8000人以上の新しい患者が発生し、約2000人が亡くなっている我が国の重大な感染症です。
結核菌に感染したかを調べる検査には、クオンティフェロンなどの血液検査、肺に特徴的な影がないかを見るX線やCT検査、結核菌を直接見つける痰の検査などがあります。
痰をスライドガラスに塗りつけ、特殊な染色をして顕微鏡で観察する塗抹検査や、培養検査、結核菌遺伝子検査を行います。痰の中に結核菌が検出されると、排菌(結核を発病している人が体の外に菌を出すこと)していることになり、周囲の人への感染の恐れがでてきます。
結核は、咳やくしゃみからの飛沫(しぶき)を吸い込むことにより感染するため、自分自身の健康だけでなく、感染の拡大を防ぐことも重要です。2週間以上続く咳や痰、微熱の症状がみられたら、早めに病院を受診しましょう。
ホルター心電図検査は、携帯用の心電計をつけて、24時間心電図を記録する検査です。これにより短時間の検査では検出できない脈の乱れ(不整脈)や、胸痛などの症状がある時の心電図の変化を見つけることができます。
検査方法は胸に心電図を記録するための電極シールを貼り、携帯用の心電計(重さ約50g前後)を首から下げて持ち運べるように取り付けます。機械を付けたまま帰宅し、丸一日普段通りに生活します。ただし、検査当日は入浴や電気毛布の使用はできません。翌日、指定の時間に来院してもらって機械を取り外します。
また、1日の生活記録として「何時に何をしたか」と「いつどんな症状が起こったか」を記録用紙に記入してもらいます。これは後日、心電図を解析する時に不整脈の有無を確認したり、症状が出た時の心電図変化を調べるうえで重要な資料となります。
聴力とは、一般的に「音や言葉を聞き取る能力」のことをいいます。音が聞こえるのは、音が音波として外耳 (耳の穴) から中耳(主に鼓膜)へ伝わり、さらに奥の内耳にある感覚細胞を刺激し、脳へと伝えられているためです。しかし、この過程に何かしらの障害や加齢による機能低下があると、聞こえが悪くなる「難聴」と呼ばれる状態になります。
聴力検査にはいくつか種類がありますが、一般的に行われている検査は、オージオメーターという装置を使用します。検査時間は20分ほどで、防音室に入ってヘッドホンをつけ手にボタンスイッチを持ちます。片耳ずつヘッドホンから音が鳴るので音が聞こえたらスイッチを押します。この作業を数回行い、どのくらい小さな音まで聞こえるか、音の高さはどの範囲まで聞こえるかを調べ難聴の種類や程度を判定します。
インスリンは膵臓で作られ、血液中のブドウ糖の量(血糖値)を下げる働きをしている重要なホルモンです。通常、食事を摂ると血糖値は高くなり、時間が経つと徐々に下がっていきます。これは、インスリンがエネルギー産生の原料となるブドウ糖を全身の細胞に取り込ませる働きをしているためであり、その結果血糖値は下がります。糖尿病などにより、インスリンの量が少なかったり働きが悪いと、血糖値が高い状態が続き全身に様々な悪影響を及ぼします。
インスリンの量を調べるには、採血をして機械で測定します。さらに血糖値と組み合わせて、インスリンの分泌能力をみる数値(インスリン分泌指数)や働きをみる数値(インスリン抵抗指数)を計算し、糖尿病の診断や治療の補助として用います。食事の影響を受けるため、検査当日は空腹の状態で来院していただくこともあります。
肺の外側は胸膜とよばれる薄い2枚の膜でおおわれています。「胸水」とは、この2枚の胸膜の間にたまった液体のことをいいます。胸水は健常人でも少量は存在していますが、たまりすぎると肺が圧迫されて咳が出たり息苦しさを感じるようになります。この原因を調べるために、肋骨の間から針を刺して胸水を採取します。
胸水は、炎症やがんなどによる滲出性(しんしゅつせい)と、心不全などの非炎症性による漏出性(ろうしゅつせい)に分類されます。採取された胸水の色や濁り具合を見たり、蛋白量や比重、pH、赤血球や白血球の量などを調べてどちらの胸水に該当するかを判断し、原因を特定していきます。それ以外にも、感染症が疑われれば細菌の有無を検査したり、がんが疑われれば細胞診検査をすることもあります。
喘息は、ダニやホコリなどの刺激でアレルギー反応が起こり、咳や痰、「ぜーぜー」という喘鳴(ぜいめい)などの様々な症状が出ると言われています。
アレルギー反応には好酸球という細胞が関わっており、好酸球によって気道に存在している酵素が活性化され、一酸化窒素(NO)が作られます。このため呼気中のNO濃度を測定することは喘息かどうか判断する目安になり、また治療効果をみるためにも行われます。
検査方法は専用の機械を用いて行います。完全に息を吐ききった状態で、専用のマウスピースをくわえ大きく息を吸い込み、一定の速度で10秒間息を吐き続けます。患者さんの協力が必要ですが、比較的簡単に行うことができる検査です。検査直前の飲食や喫煙は結果に影響が出ますので、1時間前から控えていただく必要があります。
甲状腺は首の前方、のどぼとけの下に位置し、大きさは縦に4cmほどで蝶が羽を広げたような形をしている臓器で、食物に含まれる(特に海藻類に多い)ヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを合成します。
このホルモンと、脳の下垂体と呼ばれる場所から分泌される甲状腺刺激ホルモンがお互いに分泌量の調節を行うことで、私たちの体に必要なエネルギーをつくったり、たんぱく質の合成に関わっています。
甲状腺の機能を調べるには、血液中の甲状腺ホルモンの量を測定します。量が多い場合は甲状腺の機能が亢進しているため、甲状腺の腫れ、動悸、多汗などの症状が現れ、少ない場合は、だるさ、乾燥、むくみなどのさまざまな症状が現れます。
その他にも必要に応じて、超音波検査やCTなどの画像検査や、穿刺吸引細胞診などの検査が行われることがあります。
出血した血液が止まることを止血といいますが、その仕組みには主に血液中の「血小板」という細胞と、「凝固因子」という蛋白質が関係しています。
血管に傷がつくと血小板が傷口に集まってくっつきフタを作ります。しかし、この血小板のフタはもろく不安定です。さらにいくつもの凝固因子が働いてフィブリンと呼ばれる繊維状の蛋白が作られます。それが網目状に重なって、もろかった血小板のフタを覆い固めることにより丈夫なもの(血栓)にし傷口をふさぎます。
血小板と凝固因子はどちらも採取した血液を使って検査します。血小板の検査は、血液中に含まれる数を機械で測定します。凝固因子の検査は、血液が固まる速度を機械で測定することでその働きを調べます。
血小板数が少ない場合や、血液の固まる速度が遅く凝固因子の働きが低下している場合は、出血した血液が止まりにくい可能性があります。