BNPは、血管を拡げて血圧を低下させたり、利尿作用を促進させて体に溜まった水分を体外に出す働きをしています。このため正常な人でもわずかに血液中に分泌されており、心臓への負担をやわらげる作用をしています。
しかし、心臓の機能が低下し全身に必要な血液を送り出せない心不全の状態や、心臓の筋肉が厚くなる心臓肥大など、心臓に負担がかかっている状態ではBNPは著明に増加します。このため、BNPは心不全の程度や治療効果の判定、その他狭心症や心筋梗塞などの心疾患の診断に利用されます。
心不全では、息切れやむくみなどが症状として出やすいため、気になる方は一度受診することをお勧めします。
手指衛生は、感染症から身を守るためにとても重要です。手に付着した病原体による、鼻や口、目からの感染を防ぐことができます。
手指衛生には『石鹸と流水による手洗い』と『アルコールによる手指消毒』の2つの方法があります。
『手洗い』は、汚れがあるときに行いましょう。正しい手洗いをすることで、汚れと一緒にほとんどの病原体を洗い流すことができます。特にノロウイルスは、アルコールが効きにくいため、手洗いが有効です。
『手指消毒』は、水がなくても素早く簡単に行えるのが特徴です。病原体を持ち込まない・持ち帰らないために、お店や病院では積極的に行いましょう。手指消毒は、インフルエンザの予防にもつながります。
手指衛生は、ムラがないよう行うことが大切です。特に、指先や指の間、親指は不十分になりやすい部分です。感染症を広げないため2種類の方法を使い分け、十分な手指衛生を心がけましょう。 検査室内で運動することにより心臓に負担をかけて記録する心電図検査のことです。日常生活の中で胸痛や不整脈などの症状が出る患者さんを対象に、このような症状を意図的に誘発することにより再現し、心電図変化を確認します。
長野中央病院では次の2種類の検査を行っています。
マスター法は、2段の階段昇降を3分程度行います。運動終了直後~5分後までの心電図を記録し安静時と比較します。検査は10分程度で終了し、 簡便に行うことができます。
トレッドミル法は、胸に電極を装着した状態で心電図を記録しながら、ランニングマシーンの上を最大で15分程度歩きます。徐々に速度と傾斜を上げ運動量を増やしていきます。患者さんに合った負荷量を調節でき、運動中も心電図や血圧を観察するため一過性の変化も捉えることができます。
異常が認められた場合は、狭心症や不整脈を伴う病気が疑われ、精密検査が行われます。 骨髄とは骨の内部にあり、白血球・赤血球・血小板などの血液細胞が作られている製造工場のようなところです。 原因不明の貧血や、血液のがんと呼ばれる白血病などが疑われる場合、 「骨髄検査」をすることで、通常の血液検査ではわからない血液の病気が分かることがあります。
骨髄検査には、骨髄穿刺(せんし)と骨髄生検と呼ばれる方法があります。骨髄穿刺は主に腰の骨に針を刺して骨髄中の細胞成分である骨髄液を吸引します。吸引した骨髄液をスライドガラスに薄く塗り、染色して顕微鏡で細胞を観察します。骨髄生検は骨の一部を採取して骨髄そのものを観察します。
これらの検査で、骨髄で作られている細胞の量はどうか、どんな細胞が増えているか、細胞の形や大きさに異常はないかを調べます。さらに遺伝子検査なども行い、総合的に診断し治療に役立てています。 脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪がたまった状態を言い、食べ過ぎによる肥満、糖尿病やアルコールの飲み過ぎなどが原因とされていますが、見かけ上肥満がなくても脂肪肝になっている場合もあります。自覚症状はほとんどないため、知らずに放置しておくと肝臓の働きが悪くなり、肝硬変や肝臓癌へと進行する可能性もあるので注意が必要です。
脂肪肝は、血液検査と超音波などの画像検査により診断する事ができます。血液検査では肝臓の機能をみるAST、ALTなどの値が上昇し、超音波検査では正常な肝臓と比べて白っぽくキラキラ輝いて見えるほか、肝臓内の血管が分かりにくくなるなどの所見が現れます。
バランスのとれた食事や適度な運動を心掛け、生活習慣を見直すことで、脂肪肝を改善することができます。年に一度は肝臓の状態をチェックすることが大切です。 サルモネラは鶏などの腸管や河川等の自然界に広く生息する細菌です。サルモネラに汚染された卵や肉を食べることによって感染し、半日から2日程度の潜伏期間を経て、腹痛・激しい下痢・発熱・嘔吐などの胃腸炎の症状を引き起こします。特に梅雨の時期から夏にかけては細菌が増殖しやすいため、食品の取り扱いなどには注意が必要です。
検査は便を培地に塗って菌を培養することから始めます。サルモネラは専用の培地で黒色に発育するので他の菌と鑑別することが可能です。またどのような抗菌薬が効くかを調べる検査(薬剤感受性検査)も行い、治療に役立てています。
サルモネラの感染予防は、卵や肉は冷蔵で保存し、調理する際は十分に加熱することです。調理器具の消毒や手洗いも重要です。 リブレとは、インスリン自己注射を行っている糖尿病患者さんが血糖値の自己管理を目的として使用する血糖測定器です。
二の腕に500円玉位のセンサーを装着し、手のひらサイズの測定器を近づけるだけで血糖値が表示されます。リブレは間質液(細胞と細胞間の液体)の中の糖を測定しているため、実際の血糖値とは若干の差がありますが、血糖値を反映した値となっています。センサーに付いている針は非常に細く、装着時の痛みはほとんどありません。また、最長14日間使用でき防水加工のため、装着したまま入浴や水泳など普段通りの生活が可能です。
センサーは自動的に15分ごと血糖値を測定しており、食事内容や量、運動などでどのように変動するのかいつでもすぐに確認できます。また、睡眠中の低血糖(夜間無自覚低血糖)も知ることができます。
インスリン注射をしているのに、血糖コントロールがうまくいかない患者さんの生活改善にも役立ちます。
2週間ホルター心電図検査は、携帯用の心電計を胸につけて、2週間継続して心電図の記録を行う検査です。
検査方法は、左胸に直接心電図を記録するための電極シールと小型の機械本体を貼ります。機械を付けたまま帰宅し、2週間普段通りに生活します。検査中の入浴は、湯温40℃以下で10分以内であれば可能です。
また、検査中に動悸などの自覚症状があった場合は、専用の行動記録票に記入してもらいます。この記録票は解析の際に、症状があった時の心電図を特に注意して観察するための重要な資料となります。
この検査は、長期間にわたって脈の乱れの有無を調べる検査ですが、心房細動など不整脈の治療(アブレーション)を行った後の経過観察を目的として、現在行われています。
ヒトメタニューモウイルス(以下hMPV)は、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種です。2001年に発見され、13年に検査ができるようになりました。流行のピークは3月から6月で、おもな症状は咳や熱、鼻水など普通の風邪症状と似ています。大人にも感染しますが、小児の間で流行することが多く、とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあります。
hMPVに感染しているかは検査キットを使って調べることができます。hMPVは鼻や喉の粘膜で増殖するため、細い綿棒で鼻の奥をこすります。それを試薬液に入れ、ウイルスを抽出した液体を反応板に数滴落とすと、10分程度で結果が出ます。
hMPVは、咳やくしゃみで吐き出されたウイルスによって感染したり(飛沫感染) 、気がつかないうちにウイルスに触れてしまう(接触感染)ことで感染が拡がるため、保育園や幼稚園などでの集団感染に注意する必要があります。日頃から手洗いやうがい、マスクの着用など感染予防を徹底しましょう。
自律神経機能検査とは、おもに糖尿病の合併症である神経障害を調べる検査です。糖尿病で血糖値が高い状態が長く続くと、自律神経や感覚神経などが障害されてしまいます。自律神経は、内臓や血管などの働きを調節し、体温や血圧を一定に保つ役割をしています。この自律神経が障害されると、立ち上がったときに血圧が下がってふらついたり、低血糖症状を自覚できなくなってしまいます。
検査方法はベッドに仰向けに寝て、 心電図を2分程度記録し、心臓が動く1拍ずつの間隔のばらつき具合をみます。本来心臓は拍動する間隔が微妙に変化していますが、自律神経が障害されていると、この間隔の変動が少なくなります。
神経障害を軽症のうちに発見し、血糖コントロールや適切な治療を行うことで重症化を防ぐことが大切です。
CRP(C反応性蛋白)とは、体内で炎症反応が起きている時に増加する血液中のたんぱく質のひとつで、採血することで測定ができます。
CRPは健常者ではほとんど検出されませんが、細菌による感染症や膠原病(こうげんびょう)などの炎症性疾患、外傷や腫瘍などが原因で起こる細胞の破壊が存在すると値が上昇します。ただし、これら の炎症が起こってからCRPが上昇するまでには時間差があります。炎症発生後6時間程度から上がり始め、2~3日後に最高値を示し、治療によって炎症がおさまると値は下がります。
CRPは数値により炎症の程度を推定でき、治療効果の判定にも用いますが、炎症が起こっている部位や臓器の特定はできません。その原因について調べるためには診察や他の血液検査、画像検査などを行い総合的に判断する必要があります。