なるほど!シリーズ 2021年

新型コロナウイルスと治療薬

 新型コロナウイルスの特効薬というものは、残念ながらまだありません(2021年5月現在)。
 現状は、他の疾患の治療に使用する既存薬の転用が行われています。2020年5月に新型コロナウイルスの治療薬として特例承認された薬でレムデシビル(ベクルリー)がありますが、注射薬しかないこと、肺炎などで症状が重い場合にかぎられていて、一般的ではありません。
 特効薬がない中、新型コロナウイルス感染症を終息させる手段として欠かすことのできないのはワクチン接種です。接種を受ける方には、感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、受けていただいています。
 現在、世界各国の製薬会社や研究機関がさまざまなタイプの新型コロナウイルス感染症の治療薬を開発中です。その中に、抗体医薬品(抗体薬)があります。これは、体内に侵入した異物を排除する抗体を利用した医薬品で、がん、感染症、難病などの治療に期待されています。


コロナワクチン接種の準備をする薬剤師
行事食のはなし

 長野中央病院栄養科では、お祭りや季節の行事で昔から食べてきたもの、原爆の日など忘れてはいけない特別な日に、行事食を患者さんに出しています。
 年間36回の中には、新旧どちらの暦も忘れないようにと、ひな祭りは3月と4月、七夕も7月と8月の2回ずつ行っています。
 また、平和の取り組みとして、広島に原爆が投下された8 月6日には、トマトと当時小学校5 年生の佐藤智子さんが書いた友達の詩のカードを添えます。8月15日の終戦の日には、平和な時代に健康食として食べてほしいという願いを込めて、かぼちゃごはんを出しています。
 その他、こどもの日やクリスマス、バレンタインなど、四季を感じる旬の食材を取り入れたイベント食も実施しています。


子供の日の食事

原爆の日の食事に添えたカード
透析のはなし

 腎臓の働きが、さまざまな原因で徐々に悪くなる病気を慢性腎臓病と呼び、腎臓の機能が10%程度になると透析治療や腎臓移植が必要となります。
 透析治療は大きく分けて「血液透析」と「腹膜透析」があります。今回は血液透析について紹介します。
 血液透析は、週3回程度医療機関へ通って治療を行います。1回の治療時間は4時間程度です。血液を体の外に取り出し、ダイアライザと呼ばれる透析器(フィルター)を通すことによって、血液中の余分な水分や老廃物を取り除き血液をきれいにします。きれいになった血液は、再び体の中に戻されます。
 血液を外に取り出すために、動脈と静脈をつなぎ合わせて、血液がたくさん流れる太い血管(内シャント)を造る手術をし、血液透析を行うたびに、直径約2㎜程度の針を2本穿刺する必要があります。また自宅に機械を設置し、自分や家族が行う「在宅血液透析」という方法もあります。


透析器を調整する職員
中耳炎を調べるチンパノメトリー検査
 耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分に分けられます。中耳は外耳からの音を内耳に伝える役割をもち、鼓膜や耳小骨からできています。
 チンパノメトリー検査は、中耳の状態を調べる検査で、主に中耳炎の診断に用いられます。中耳炎とは中耳に水がたまり鼓膜が振動しにくくなる状態で、音が聞こえにくくなったり、耳がつまったような耳閉感などの症状があります。
 検査方法は、耳の穴にしっかりと耳栓をして、鼓膜に圧をかけて振動のしやすさなどを波形として記録しています。耳に水が溜まって鼓膜が動きにくくなると、正常と比較して波形の山が低くなります。検査中は「ブーン」と低い音が聞こえ、少し耳が押される感じがありますが、静かに音を聞いていてください。検査時間は数秒で、痛みはほとんどありません。 小さな子どもに多い中耳炎ですが、大人でも起こります。耳閉感や自分の声・音が響くなどの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
新型コロナウイルス感染症
 コロナウイルスは風邪や肺炎などを起こすウイルスの一種で、人に感染するコロナウイルスはこれまで6種類が知られていました。
 今回、新たに見つかったコロナウイルスによる感染症を「新型コロナウイルス感染症(COVID─19=コービッド・ナインティーン)」と言い、世界中に感染が拡大しています。代表的な症状は、発熱や咳・喉の痛み・鼻水などの呼吸器症状などですが、嗅覚・味覚障害を訴える方が多いこともわかってきています。
 検査は、鼻の奥を綿棒で拭ったり痰や唾液を採取して、ウイルスの遺伝子の有無を調べるPCRやLAMP法といわれる遺伝子検査と、ウイルスのタンパク質を検査する抗原検査があり、その他に過去に感染したかを調べる抗体検査などがあります。
 COVID─19は、感染している人の咳やくしゃみなどで生じる飛沫に含まれるウイルスが、目・鼻・口に入ることで感染(飛沫感染)したり、ウイルスの付着した手で、目・鼻・口に触れることで感染(接触感染)します。日頃からマスクの着用や、手洗い・手指消毒、密になる場所をなるべく避けるなど、感染防止対策を心がけましょう。
レジオネラ肺炎の検査方法
 レジオネラは、河川や湿った土壌など自然環境に生息する細菌ですが、循環式浴槽水、温泉、空調設備の冷却水などに侵入し繁殖します。
 レジオネラを含む細かい霧やしぶきを吸入することで感染し肺炎を起こしますが、人から人への感染はありません。免疫力の低い高齢者、喫煙者、大酒家が罹患しや すく、病気の進行が早いため適切な治療がされなかった場合は重症化することもあります。
 潜伏期間は2~10日で、全身倦怠感・食欲不振などの初期症状や乾いた咳・高熱・胸痛などの肺炎症状がみられます。さらに温泉に行った等の行動歴があれば、レジオネラ感染を疑い、尿中のレジオネラ抗原を調べる検査が行われます。これは、尿を専用の試薬に滴下して調べる簡便な検査で、約15分で判定することができます。
 レジオネラ肺炎は他の細菌性肺炎と症状の区別がつきにくく、治療薬も異なるため、迅速に結果が出る尿の検査は早期診断、早期治療に役立ちます。
【長野中央病院】
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