なるほど!シリーズ 2021年

長野中央病院の調理システム

長野中央病院栄養科
 長野中央病院では、地下の厨房から患者さんの食事を365日、朝昼晩と出しています。患者さんの状態にあった食事を提供するために栄養士が献立を決め、調理師が調理しています。
 当院では「新調理システム」の調理・保存法のひとつとして「クックチル」のシステムを取り入れています。加熱調理した食品を急速冷却し、喫食時間に合わせて再加熱し提供する調理システムのことです。加熱方法としてスチームコンベクションオーブンを利用しています。「煮る」「炊く」「炒める」などができる多機能な加熱機器です。
 中心温度85°Cで1分以上の加熱し、ブラストチラーで90分以内に3°C以下に冷却することによって食中毒を防ぎながら、冷蔵庫保管で3日間保存し提供当日に再加熱し提供することができます。
 この業務を週3回行うことで業務の効率化を図り、煮物などは味が良くしみたおいしい料理を提供することができるというメリットもあります。


クリスマスの献立

ブラストチラー
パルスオキシメータの疑問

 病院の医療機器の管理をしている部署、臨床工学科からコロナ禍で必要不可欠となっているパルスオキシメータについて紹介します。
 そもそも、パルスオキシメータで表示される値は何? あの赤い光は何? の2点について説明します。
 肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合(酸化ヘモグロビン)し、赤血球が血液に乗り酸素の少ない組織に行くとヘモグロビンから酸素が放出(還元ヘモグロビン)します。ヘモグロビンに酸素が何%結合しているか、皮膚を通して調べた値が表示されています。
 原理ですが、酸化ヘモグロビンは赤外光をよく吸収し、還元ヘモグロビンは赤色光をよく吸収するという特性の違いを利用して、2つのヘモグロビンの比率を求めて酸素飽和度を測定しています。つまり、あの赤い光は赤色光です(図1参照)。
 便利なパルスオキシメータにも弱点があります。指の血流の影響を受けやすいため、指先が冷たいときには正確に測定できません。指を温める、または他の指につけかえてみてください。


図1
PCR検査とは?

 新型コロナウイルスの検査方法の一つとしてよく耳にするようになりましたが、正式名称を「ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)」といいます。PCR検査は、ウイルスなど生物の存在を確認するために遺伝子の検出を行います。
 すべての生物は各々異なるDNAやRNAという遺伝子で構成されていますが、遺伝子そのものは極微量であり、そのままでは検出することは難しいものです。そこでPCR検査では、ポリメラーゼという酵素の働きを利用して加熱や冷却を繰り返し、目的とする遺伝子の特定の部分を連鎖的に増幅して検出します。他の検査に比べると感度が高く、結果が陽性であれば存在がほぼ確認できたといえます。
 一方、陰性であっても存在しないとは言い切れません。新型コロナウイルス検査の場合、検体を採取したときにウイルスが採れていなかったり、感染直後では増幅しても検出できない程まだウイルス量が少ない等が陰性になってしまう原因として考えられます。
 PCR検査は、他にも遺伝子疾患の検査や食品検査、犯罪捜査などさまざまな場面で実施されています。

患部は温める?冷やす?

 「痛いところは温めた方がいい?冷やした方がいい?」
 リハビリ中によく聞かれる質問です。
 結論を言うと、急性期は冷やす、慢性期は温める、となります。
 急性期は局所に急な負荷がかかり炎症反応を起こす時期で受傷直後~数日が目安です。血流量が増え、腫れる、熱い、赤くなる、鋭い痛みなどの症状がでます。そのため「冷やす」「安静」にて炎症を抑えます。この時期は温めるとかえって炎症を助長し症状の悪化を招くので要注意です。
 急性期の炎症が軽減~消失したら慢性期に移行したと判断します。この時期は痛めた部位やその周辺の組織(筋肉など)は硬くなり血流が阻害されます。その結果、必要な酸素や栄養分が十分に行き届かなくなります。この時期は温めることで血流を促し組織の修復の手助けをしてあげることが大切です。
 まとめると、痛めた直後~数日の熱や腫れている時は冷やして安静に、その後の腫れが引いてきた時期は温める、と覚えてもらえればと思います。

骨密度検査のはなし

 骨密度検査にはDXA法、超音波法、レントゲンで手を撮影して測定するMID法などがあります。
 当院では、ガイドラインに準拠し、腰椎及び大腿骨近位部(足の付け根)でDXA法を用いて測定しています。DXA法は、2種類のエネルギーのX線を測定部位に当て、骨と軟部組織との吸収率の差で骨密度を測定する方法です。被ばく量は極めて少なく、迅速で精度の高い測定ができます。
 骨折しやすい腰椎・大腿骨領域を直接測定するので、骨折リスクの評価に優れます。高齢で腰椎や大腿骨を骨折した場合、日常生活動作が困難になり、寝たきりになってしまう可能性があります。このリスクを評価するためにも腰椎・大腿骨での測定が必要です。
 骨粗鬆症の診断に用いられますが、ドックや健診でもオプション※ で検査できます。
※ 骨密度測定は大腿骨と腰椎を年度で交互に実施。一般3960円、組合員3080円(税込)


長野中央病院放射線科
新型コロナウイルスと治療薬

 新型コロナウイルスの特効薬というものは、残念ながらまだありません(2021年5月現在)。
 現状は、他の疾患の治療に使用する既存薬の転用が行われています。2020年5月に新型コロナウイルスの治療薬として特例承認された薬でレムデシビル(ベクルリー)がありますが、注射薬しかないこと、肺炎などで症状が重い場合にかぎられていて、一般的ではありません。
 特効薬がない中、新型コロナウイルス感染症を終息させる手段として欠かすことのできないのはワクチン接種です。接種を受ける方には、感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、受けていただいています。
 現在、世界各国の製薬会社や研究機関がさまざまなタイプの新型コロナウイルス感染症の治療薬を開発中です。その中に、抗体医薬品(抗体薬)があります。これは、体内に侵入した異物を排除する抗体を利用した医薬品で、がん、感染症、難病などの治療に期待されています。


コロナワクチン接種の準備をする薬剤師
行事食のはなし

 長野中央病院栄養科では、お祭りや季節の行事で昔から食べてきたもの、原爆の日など忘れてはいけない特別な日に、行事食を患者さんに出しています。
 年間36回の中には、新旧どちらの暦も忘れないようにと、ひな祭りは3月と4月、七夕も7月と8月の2回ずつ行っています。
 また、平和の取り組みとして、広島に原爆が投下された8 月6日には、トマトと当時小学校5 年生の佐藤智子さんが書いた友達の詩のカードを添えます。8月15日の終戦の日には、平和な時代に健康食として食べてほしいという願いを込めて、かぼちゃごはんを出しています。
 その他、こどもの日やクリスマス、バレンタインなど、四季を感じる旬の食材を取り入れたイベント食も実施しています。


子供の日の食事

原爆の日の食事に添えたカード
透析のはなし

 腎臓の働きが、さまざまな原因で徐々に悪くなる病気を慢性腎臓病と呼び、腎臓の機能が10%程度になると透析治療や腎臓移植が必要となります。
 透析治療は大きく分けて「血液透析」と「腹膜透析」があります。今回は血液透析について紹介します。
 血液透析は、週3回程度医療機関へ通って治療を行います。1回の治療時間は4時間程度です。血液を体の外に取り出し、ダイアライザと呼ばれる透析器(フィルター)を通すことによって、血液中の余分な水分や老廃物を取り除き血液をきれいにします。きれいになった血液は、再び体の中に戻されます。
 血液を外に取り出すために、動脈と静脈をつなぎ合わせて、血液がたくさん流れる太い血管(内シャント)を造る手術をし、血液透析を行うたびに、直径約2㎜程度の針を2本穿刺する必要があります。また自宅に機械を設置し、自分や家族が行う「在宅血液透析」という方法もあります。


透析器を調整する職員
中耳炎を調べるチンパノメトリー検査
 耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分に分けられます。中耳は外耳からの音を内耳に伝える役割をもち、鼓膜や耳小骨からできています。
 チンパノメトリー検査は、中耳の状態を調べる検査で、主に中耳炎の診断に用いられます。中耳炎とは中耳に水がたまり鼓膜が振動しにくくなる状態で、音が聞こえにくくなったり、耳がつまったような耳閉感などの症状があります。
 検査方法は、耳の穴にしっかりと耳栓をして、鼓膜に圧をかけて振動のしやすさなどを波形として記録しています。耳に水が溜まって鼓膜が動きにくくなると、正常と比較して波形の山が低くなります。検査中は「ブーン」と低い音が聞こえ、少し耳が押される感じがありますが、静かに音を聞いていてください。検査時間は数秒で、痛みはほとんどありません。 小さな子どもに多い中耳炎ですが、大人でも起こります。耳閉感や自分の声・音が響くなどの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
新型コロナウイルス感染症
 コロナウイルスは風邪や肺炎などを起こすウイルスの一種で、人に感染するコロナウイルスはこれまで6種類が知られていました。
 今回、新たに見つかったコロナウイルスによる感染症を「新型コロナウイルス感染症(COVID─19=コービッド・ナインティーン)」と言い、世界中に感染が拡大しています。代表的な症状は、発熱や咳・喉の痛み・鼻水などの呼吸器症状などですが、嗅覚・味覚障害を訴える方が多いこともわかってきています。
 検査は、鼻の奥を綿棒で拭ったり痰や唾液を採取して、ウイルスの遺伝子の有無を調べるPCRやLAMP法といわれる遺伝子検査と、ウイルスのタンパク質を検査する抗原検査があり、その他に過去に感染したかを調べる抗体検査などがあります。
 COVID─19は、感染している人の咳やくしゃみなどで生じる飛沫に含まれるウイルスが、目・鼻・口に入ることで感染(飛沫感染)したり、ウイルスの付着した手で、目・鼻・口に触れることで感染(接触感染)します。日頃からマスクの着用や、手洗い・手指消毒、密になる場所をなるべく避けるなど、感染防止対策を心がけましょう。
レジオネラ肺炎の検査方法
 レジオネラは、河川や湿った土壌など自然環境に生息する細菌ですが、循環式浴槽水、温泉、空調設備の冷却水などに侵入し繁殖します。
 レジオネラを含む細かい霧やしぶきを吸入することで感染し肺炎を起こしますが、人から人への感染はありません。免疫力の低い高齢者、喫煙者、大酒家が罹患しや すく、病気の進行が早いため適切な治療がされなかった場合は重症化することもあります。
 潜伏期間は2~10日で、全身倦怠感・食欲不振などの初期症状や乾いた咳・高熱・胸痛などの肺炎症状がみられます。さらに温泉に行った等の行動歴があれば、レジオネラ感染を疑い、尿中のレジオネラ抗原を調べる検査が行われます。これは、尿を専用の試薬に滴下して調べる簡便な検査で、約15分で判定することができます。
 レジオネラ肺炎は他の細菌性肺炎と症状の区別がつきにくく、治療薬も異なるため、迅速に結果が出る尿の検査は早期診断、早期治療に役立ちます。
【長野中央病院】
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JR長野駅から徒歩約20分。
最寄りのバス停から約7分。

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