足に痛みやしびれなど、なんらかの違和感を感じた時あなたはどの科を受診しますか?

足が痛い理由を筋肉や骨などと考え、まずは「整形外科」を受診する方が大半だと思いますが、痛みの原因は足そのものではないことも…
腰の病気や血管の病気が原因の「 間欠性跛行 かんけつせいはこう 」をご存知ですか?

Special topic

間欠性跛行とは

一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどにうずくような痛みやしびれ、疲労感などを感じ、歩くことが困難になり、しばらく休息すると歩けるようになる症状を「間欠性跛行」といいます。間欠性跛行は、「腰部脊柱管狭窄症」と「下肢閉塞性動脈硬化症」を原因とする疾患です。歩行中に痛みを感じ、休んでから回復するまでの時間が5分程度なら「整形外科」へ、30分以上かかるようなら「循環器内科」にかかるのが受診科の目安となります。間欠性跛行を疑うような症状を感じた際にはできるだけ早い受診をおすすめしています。そして足の痛みやしびれ、違和感の原因を究明し、その原因に適した治療を早めに開始することが大切です。

歩行時に症状を感じる男性の様子

整形外科

原因1、背骨の神経が圧迫される病気、腰部脊柱管狭窄症

脊柱管は、背骨、椎間板、関節、靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。加齢や労働、激しいスポーツなどにより、この脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、神経の血流が低下することで起こるのが脊柱管狭窄症です。

この病気では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時はほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、太ももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、少し前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。進行すると下肢の筋力低下や尿の出が悪くなる、尿漏れが起こるなどの症状が出現します。

間欠性跛行の原因のおよそ7割はこの「腰部脊柱管狭窄症」であるとされています。

腰椎を横と上からみた図

循環器内科

原因2、血流が悪くなる病気「下肢閉塞性動脈硬化症」

足の血管の動脈硬化が進み、血管が細くなったり詰まったりすることで、血液の流れが悪くなる病気です。足の血管の内側に脂質やコレステロールが蓄積し、炎症や石灰化が起こり、血管の内径が狭くなることが要因です。特に太ももの血管が細くなることで、ふくらはぎに痛みやしびれを感じる人が多く見られます。

下肢閉塞性動脈硬化症は進行すると間欠性跛行の症状が現れ、次第にじっとしていても足が痛くなるなど、夜も眠れないことがあります。さらに重症化すると壊疽(組織が死んでしまった状態)になり、適切な治療を行わないと足を切断しなければならないこともあります。

健康な血管と早期動脈硬化と進行した動脈硬化を比較した図
Interview

間欠性跛行についてインタビュー

整形外科

患者さんの悩みに寄り添い
最適な治療法を提案

治療法の善し悪しや必要性をきちんと説明

「腰部脊柱管狭窄症」は加齢などの変化により椎間板の変成や骨の変形、靱帯の緩みなどが原因で脊柱管が狭まり、その中を通る神経が圧迫されることによって足に痛みやしびれが生じる症状です。来院される患者さんは足や腰が痛い、歩きづらいなど、悩みを抱えていらっしゃいます。そのためまずは症状の緩和を促すような内服薬の処方や歩行能力を改善するためのリハビリ療法を行っています。また患者さんの希望によっては、より詳しい検査や手術を選択する場合もあります。患者さんの生活スタイルや希望を伺い、どんな検査で何が分かるのか、なぜその治療が有益なのか、どんな意味があるのかなど、きちんと説明をし治療提案を行っています。
手術を行えば根本的な原因を取り除くことができ、再発のリスクもほぼありません。手術の2日後には下肢痛もなく歩けるようになります。しかし足のしびれはとれにくく、下腿の冷感やほてりはとれない、また腰の痛みが悪化する恐れもあります。そういった手術のメリット、デメリットをきちんと説明し、患者さん自身が理解、納得したうえでの治療が必要だと考えています。

症状の緩和と生活の質を保つために違和感があったら相談を

「腰部脊柱管狭窄症」は歩かず、動かずでいると下肢の筋力が落ち、骨も弱くなってしまうので注意が必要です。脊柱管狭窄の原因は加齢によるものが大きいため予防することは難しいですが、早期の診断と適切な治療は、症状の緩和と生活の質の維持や向上に役立ちます。少しでも違和感を覚えるようなことがあれば、かかりつけ医にご相談ください。

お話を伺った先生

整形外科

水谷 みずたに 順一 じゅんいち 医師

水谷 順一医師
私が大事にしていること

患者さんの生活スタイルやご希望に寄り添った
わかりやすい治療の提案を心がけています。

my favorite

旅行や山釣りなど多趣味ではありますが、中でも49歳で大型二輪免許を取得したオートバイが今一番の趣味かもしれません。バイクのカスタムにも夢中です。

バイクの写真

循環器内科

生活習慣の見直しと
改善が大事
治療は分かりやすい言葉で

大切なのは動脈硬化を予防すること 
発症後は早めの受診&治療を

「下肢閉塞性動脈硬化症」の原因となる動脈硬化は、加齢とともに進行するといわれており、喫煙歴や運動不足によりリスクが増加します。動脈硬化が進行してしまうと心筋梗塞や脳梗塞など重篤な病気を発症する可能性が高まるため、まずは生活習慣の見直しと改善が予防の最善策となります。
発症後の治療は、血管を拡張させる薬や血栓ができにくくする抗凝固薬、抗血小板薬など症状に応じて内服する「薬物療法」か「運動療法」が主になります。しかし、重症化した場合は、手術による治療が選択肢に加わります。循環器内科では、カテーテルインターベンションと呼ばれる血管の中にカテーテル(細い管)を入れ、風船で血管を押し広げるバルーン療法や、網目状の金属を血管内に留置し、内側から補強するステント留置を行っています。カテーテルインターベンションは、低侵襲で体への負担が少ないため、まず最初に検討される術式ですが、膝周りに施術すると足を動かしにくく感じたり、正座ができなくなったりします。足の痛みやしびれといったそもそもの症状は緩和されても、日常生活に支障をきたす恐れもあるので、重症化させないよう早期発見・早期治療が大切です。

わかりやすい言葉と説明で治療のモチベーションアップ

診療、治療において心がけていることは「患者さんにわかりやすい言葉で説明すること」です。最適な治療結果を得るためには、医師はもちろん、患者さん自身も体を気遣い、良くなるために努力をすることが必要だと考えます。治療は患者さんと医師による共闘作業となるため、治療に対するモチベーションが上がるような言葉を選び、伝え方を工夫しています。

お話を伺った先生

循環器内科

はやし 充那登 み な と 医師

林 充那登医師
私が大事にしていること

診療科を超えた連携を大切にしています。栄養学やリハビリなど、多職種と協力して診療に励むチーム医療にも、積極的に関わっていきたいと考えています。

my favorite

趣味はランニング。長野マラソンにも毎年出場していますが練習不足が否めません…。来年の目標は長野マラソン完走です。

ランニングシューズの写真